K9 GAME 6th 〈木曽三川公園〉

2012年6月16日・17日と三重県桑名市輪中ドームでの試合に参加して来ました。モコはオープンクラスに出場。16日は4位、17日は8位と残念な結果で終了です。

 

今回は、モコではなく。コロのフリースタイルについて話します。一口にフリスビーと言っても、ディスタンスフリースタイルの2種類あります。一枚のディスクで1分間に何回キャッチするか、距離と回数を争うのがディスタンスです(モコが出場しているのがディスタンスです)。
それに対して、10枚のディスクを用いて音楽に合わせ、犬のキャッチする姿、人間のスローの美しさを2分間で争うのがフリースタイルです。

スケートのスピードスケートに充当するのがディスタンスで、フィギュアスケートに充当するのがフリースタイルだと思ってもらえればよいと思います。競技人口が多いのは圧倒的にディスタンスで、K9の場合、100名参加したうち、フリースタイル出場者は数名という程度です。JFAなら200名近く参加したうち、フリースタイル出場者は3〜4名程度です。

なぜフリースタイルの競技人口が少ないかと言うと、やらしい言い方になりますが、お金と暇のある人でないと、なかなか出来ないカテゴリーだからです。ディスタンスなら、一人でどこか場所を見つけて、見よう見真似でも何とか出来ないことはありません。それに対してフリースタイルは、ほとんどの人がフリースタイル専門のスクールに入会して学んでいます。さらにドッグダンススクール、人間の動作の美しさを学ぶためにダンススクールに通っている人もいます。競技人口は女性の方が幾分多いようです。

もちろん、ワンコ達も有名犬舎出身のスーパードッグ達です。そんな中で、貧乏暇無しのオヤジが、ごく普通のショータイプのボーダーコリーのコロで参加するのは、あまりにも無謀ですが、敢えてチャレンジしています。

 

一口でボーダーコリーと言っても、ほとんどの人が理解しているのは、ショータイプのボーダーコリーです。フリスビーの大会で、上位にいるワンちゃん達は、ワーキングタイプと言って、はじめて見た人は、「えっ、これもボーダーコリーなの?」と思う人もいるかもしれません。特にコロは、ショータイプの平均的身体能力よりも、明らかに体力的には劣っています。

フリースタイルの花形プレイに、ボルトというプレイがあります。人間の体を踏み台にして2m位ジャンプしてディスクをキャッチするプレイです。コロのジャンプ力と言えば、ベンチに飛び乗ることがやっとで、50cmあるかないかですから、人間の体に飛び乗ること自体が不可能です。こんなコロで、誰に教わることなく、独力でフリースタイルに出場するというのですから、周りの人たちは半分あきれていました。でも、コロは一枚のディスクに集中するディスタンスよりも、多くのディスクを遊び感覚で、私と一緒になって追いかけ回すのが大好きなので、フリースタイルにチャレンジしてみることにしたのでした。

 

とにかく、失敗を恐れずに、身体能力の劣るコロでもそれなりのプレイが出来るように色々と考えてみました。たとえ50cmのジャンプしか出来なくとも、少しでも高く見せることが出来るように、観客の視線を出来るだけ低くするため、人間が寝転んだ姿勢でのプレイを多く取り入れることにしました。
次に、中学、高校、大学と格闘技をしていたことを生かして、プレイにキックを入れることにしました。それにより、50cmのジャンプでも1.5mのハイキックと組み合わせれば、見た目には1mのジャンプのような印象を与えることが出来ます。しかし、キック1発はパンチ10発分の体力を消耗するので、肉体的には大変きついものがあります。

最近、キックに関して大変うれしかったことがあったので紹介します。試合を観戦していた人の中に、格闘技経験者の人がいて、ゲーム終了後、私のところへ来て、「ワンちゃんにキックが当たってしまった時のことを考え、万が一の時はふくらはぎが当たるようにして、目立たないけど高度なキックをされているのですね。」と言われた時には、気付いてくれる人もいるのだと、非常に感激しました。
しかし、昨年左ハイキックの時、右アキレス腱を断絶してしまったので、頭の高さまであげていた足を胸の高さでセーブしています。

そして、次に考えたのが、トリックスローをマスターすることです。これならコロの身体能力関係なしに、人間の努力で、少しは見栄えがよくなるかと考え、がんばって練習しています。
そんなわけで、他に例を見ない独特のスタイルの、それこそフリースタイルらしきもので参戦しているのです。

 

今シーズンから上級クラスDDマスターズにノミネートすることにしました。目標はとにかく最下位にならないこと。なんと小さな目標かと思うかもしれませんが、コロと私とのさまざまな条件のなかでは、最下位が当然で、これでもすごい目標なのです。

2012年5月16日 神戸大会では6人中3位、6月17日三川公園では3人中2位でした。神戸でのゲームは50点満点中、1R30.5点、決勝29点。そこそこ満足のいく得点でしたが、今回は前日の雨により、地面はドロドロの状態のため、寝転んでのプレイ、キックを用いるには最悪のコンディションとなり、それに加えてアキレス腱再断絶の恐怖もあり、1R22点、決勝26.5点と最悪の結果に終ってしまいました。

いつか動画で、オヤジと50cmジャンプのコロとの、ささやかで、そしてけなげな、見ている人の感動ではなく、同情を誘うプレイをアップしたいと思っています。